「本当に今の職場を辞めていいのかな…」そんな風に悩んでいるあなたは、きっと責任感が強くて子どもたちのことを第一に考える素敵な保育士さんですね。でも同時に、「このまま続けていても自分らしく働けない」という不安も感じているのではないでしょうか。
実は、あなたのような悩みを抱えている保育士さんはとても多いんです。厚生労働省の調査データによると、保育士全体の離職率は「9.3%」であり、日本の平均値(15.0%)よりもデータ上は低い離職率となっています。意外に思うかもしれませんが、世間が思うほど保育士の離職率は高くないのが現実です。
それでも毎年多くの保育士さんが転職を選ぶのには、きちんとした理由があります。今回は、保育士さんが退職を決める本当の理由と、円満に次のステップに進むための具体的な方法をお伝えします。
【データで見る】保育士が辞める本当の理由TOP5
まずは、実際のデータから保育士さんがどんな理由で退職を決めているのかを見てみましょう。
1位:職場の人間関係(多くの調査で上位)
令和4年度の厚生労働省の調査によると、保育士の退職理由でもっとも多いのが「職場の人間関係」です。保育園は女性が多い職場で、価値観の違いや指導方針の食い違いから関係がギクシャクすることも。特に先輩保育士との関係に悩む新人さんが多いようです。
2位:給料・待遇への不満
給料が少ないことを退職理由に保育現場を去る人も多くいます。責任の重い仕事なのに給与が見合わない、昇給が期待できないといった経済的な理由も深刻な問題です。
3位:業務量の多さ・労働時間の長さ
「会議・記録・報告」があげられており、実際に「指導計画」「クラス便り」「保育記録」といった事務作業があげられました。子どもと向き合う時間以外の業務が膨大で、サービス残業も常態化している園が多いのが現状です。
4位:結婚・出産・家族の事情
保育士が離職する理由として、妊娠や出産もあります。妊娠や出産をすると、体力が必要となる保育士の業務がしにくくなるからです。ライフイベントと仕事の両立の難しさも大きな要因となっています。
5位:他業種への興味・キャリアチェンジ
保育士として働く中で「もっと違う分野で自分を試したい」「別の形で子どもに関わりたい」と考える方も少なくありません。
円満退職を成功させる3つのステップ
退職の理由が分かったところで、次は「どうやって円満に辞めるか」という実践的な部分を見ていきましょう。
ステップ1:退職のタイミングを戦略的に選ぶ
最適な退職時期は「年度末(3月)」
保育士さんにとって退職するのに最適なタイミングは、子どもたちが1年間のクラス生活を終え、次の学年へと上がる「年度末」です。年度末なら:
– クラス編成の見直しがしやすい
– 他の職員への負担を最小限にできる
– 退職する保育士が多い時期なので目立ちにくい
やむを得ず年度途中の場合は8月or12月
8月はお盆休みがあり、行事も少ない時期です。夏休み明けから新体制でスタートできるため、園の運営への影響を抑えられます。12月も年末年始の区切りとボーナス支給後という点でメリットがあります。
ステップ2:退職の意思を早めに伝える
3〜6ヶ月前には必ず相談を
雇用契約で定められていなければ、民法では2週間前までに退職の意を伝えればよいとされています。しかし、円満退職をしたいのであれば2週間前に退職を伝えるのは遅すぎます。
保育士の場合は後任の採用や引き継ぎを考慮して、退職したい時期の半年〜3ヶ月前に余裕を持って伝えましょう。
伝える順番を間違えないで
1. 直属の主任に相談
2. 園長先生に正式に報告
3. 同僚への挨拶
ステップ3:退職理由をポジティブに伝える
NGな伝え方
– 「人間関係がつらくて…」
– 「給料が安すぎます」
– 「残業が多すぎて無理です」
OKな伝え方の例
– 「新しい分野で保育士としてのスキルを活かしたく」
– 「キャリアアップのため勉強に専念したい」
– 「家庭の事情で」
退職理由にかかわらず前向きな表現へと言い換えを工夫することかもしれません。
引き止めにあった時の上手な断り方
人手不足の保育業界では、人手不足な保育士業界では、ほとんどの場合で多少の引き止めがあると考えたほうが良いでしょう。よくある引き止めパターンと対処法をご紹介します。
パターン1:「給料を上げるから考え直して」
対処法:
書面での確約を求める。口約束だけでは後でうやむやになる可能性が高いです。また、給与以外の退職理由がある場合は、それも含めて説明しましょう。
例文:
「お気遣いいただきありがとうございます。ただ、今回の決断は総合的に判断した結果ですので、お気持ちだけいただかせてください」
パターン2:「後任が決まるまで待って」
対処法:
後任の保育士を雇うまでには、時間やコストが掛かります。数ヶ月~1年ほど待ったうえに、退職の話自体がうやむやになってしまう可能性も。期限を明確に決めることが大切です。
例文:
「○月末までであればお待ちできますが、それ以降は既に予定があるため難しい状況です」
パターン3:「あなたは必要な人材だ」
対処法:
感謝を示しつつ、決意が固いことを伝える。
例文:
「そう言っていただけて本当に嬉しいです。だからこそ、今のうちにしっかりと引き継ぎをして、ご迷惑をおかけしないよう準備させていただきたいと思います」
退職準備のチェックリスト
引き継ぎ関連
– [ ] クラス担当の子どもたち一人ひとりの特性・注意点をまとめる
– [ ] 保護者との関係性や配慮事項を記録
– [ ] 年間計画や行事準備の進行状況を整理
– [ ] 教材や備品の管理状況を伝達
手続き関連
– [ ] 退職届の提出(園の規定に従って)
– [ ] 有給休暇の消化計画
– [ ] 退職金や最終給与の確認
– [ ] 健康保険・年金の切り替え手続き準備
関係者への挨拶
– [ ] 子どもたちへのお別れの挨拶
– [ ] 保護者への挨拶状作成
– [ ] 同僚への感謝の気持ちを伝える
【体験談】実際に円満退職した保育士さんの声
Aさん(26歳・私立保育園3年勤務)
「人間関係で悩んでいたけれど、『キャリアアップのため』という理由で通しました。半年前から相談して、後任の方が決まるまでしっかり引き継ぎもできて、最後は温かく送り出してもらえました。今は認定こども園で主任候補として頑張っています」
Bさん(28歳・公立保育園5年勤務)
「結婚を機に転居することになったので、その理由で退職しました。正直な理由だったので引き止められることもなく、同僚の皆さんにお祝いしてもらいながら卒園式と同時に卒業できました」
転職活動のタイミング戦略
在職中の転職活動のメリット
– 経済的な不安がない
– じっくり転職先を選べる
– 現職場との比較ができる
効率的な転職活動の進め方
1. 情報収集期(退職6ヶ月前):転職サイトへの登録、求人情報のチェック
2. 応募・選考期(退職3ヶ月前):本格的な応募開始
3. 内定・調整期(退職1ヶ月前):内定先との入職時期調整
できれば在職中に転職活動を進め、次の職場を決めてから退職することをおすすめします。経済的な不安がなくなれば、退職の決断もしやすくなるでしょう。
退職後のキャリアパスを考える
保育士として他の園へ転職
– 認可保育園から認定こども園へ
– 私立から公立(または逆)へ
– 企業主導型保育園という選択肢も
保育士資格を活かした関連職種
– 児童発達支援施設
– 学童保育指導員
– ベビーシッター
– 保育園の事務職
全く違う業界への転職
– 子ども関連企業(玩具メーカー、教材会社など)
– 接客・販売業
– 事務職
まとめ:あなたらしい働き方を見つけるために
保育士の退職は決して珍しいことではありません。大切なのは、あなた自身が納得できる働き方を見つけることです。
今回お伝えした内容をまとめると:
1. 退職理由を明確にして、前向きな表現で伝える
2. 適切なタイミング(年度末)で早めに相談する
3. 引き止めにあっても決意を曲げない
4. 丁寧な引き継ぎで円満退職を目指す
5. 在職中の転職活動で次のステップを確実に
もしあなたが今、退職を考えているなら、それは決して逃げではありません。より良い環境で、もっと自分らしく保育士として活躍するための前向きな選択です。
子どもたちに愛情を持って接してきたあなたなら、きっとどこに行っても素晴らしい保育士として活躍できるはず。勇気を出して、新しい一歩を踏み出してみませんか?
転職を検討中の保育士さんへ
一人で悩まず、転職エージェントや保育士専門の相談窓口を活用するのもおすすめです。客観的なアドバイスを受けることで、あなたにぴったりの職場が見つかるかもしれません。
あなたの保育士としての新たな挑戦を、心から応援しています!

コメント